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 豊明堂の団子

ニコンのレンズ、DX18-70mm F3.5-F4.5が故障した。ズームリングがうまく動かない。使えるのは24mmから35mmの間だけ。さてどうするか。新品を買っても3万円もしないレンズである。いいレンズなのだが、いまさらDXレンズを修理してもなあ。

カメラのフルサイズへの移行ということもあるし、14-24mm F2.8G EDと24-70mm F2.8G EDを買いたいのだが‥。なんせ高い。2本で40万円だもんなあ。とてもとても手が出ない。
で、狙いをつけたのが、タムロンの28-75mm F2.8 MACRO (A09 II)。評判もまあまあ良さそうだし、なにより値段が手頃。そうだな。こいつにしよう。
予算がないからといえばそれまでだが、おれは純正にこだわらない。第一、シグマ、タムロンなどのレンズメーカーは世界一流だ。

ずっと前のこと。こんなことを言われた。プロでもそんなカメラを使うんですか?そんとき使っていたのは、ペンタックスMEスーパーという普及型カメラ。まあ35mmは使用頻度も少ないし、もともと機材はこだわらないほうだし‥。自慢できるカメラではないが、ペンタックスで十分満足していた。
そのころは、カメラを2台首から下げているというスタイル。レンズ交換とフィルム交換が面倒なんで2台使うのだが、重いカメラだとすぐ首が痛くなるんだよね。その点、ペンタックスはメチャクチャ軽かった。
民家の写真も、ほとんどこのMEスーパー。レンズは、28-50mmと75-150mmの2本のズーム。よく活躍してくれました。

もちろんモノにもよるんだろうが、一流品とかブランド品というものにあまり興味がない。根っからの貧乏性なのかな。おれが好きなのは、世間では二流と言われながらも、第一級品を一生懸命作っているメーカー。好感が持てるよね。
食べ物屋もそう。たとえば、長野市中御所にある豊明堂という古い小さな店。全然有名じゃないけど、ここのみたらし団子は絶品。時間を置くと固くなってしまうが、それも昔のまま。とにかくていねいに作っている。ああ、急に団子が食べたくなった。
08.8.29


 家に関しての個人的好み 2

家を新築したときは、だれでもうれしい。うれしくて、家の中外を満足げに眺めるものだ。が、それもほんのしばらくの間だけ。家なんか、いつ見ても代わり映えしないからだ。まあ女房のようなものかも。結局のところ、毎日見るのは窓なんだね。つまり外の風景だ。

起きてまず見るのは寝室の天井と時計。そして、窓の外。天候をチェックするわけではないが、外の気配をなんとなく感じ取る。雨が降っているとか。風が吹いているとか。暗いなあとか。まあたいしたことじゃないけど、いろんなことを思うわけ。居間にいてもそう。しょっちゅう庭を見るわけさ。

庭木はいいね。春の芽吹き。花が咲いて、実をつける。風が吹くと、枝葉がそよそよと揺れる。雨が降ると、緑が一段と美しい。変化に富んだ紅葉。冬枯れた景色も、なかなかの深い味わい。雪景色もいいぞ。そして、また春の芽吹き。毎日見ても、飽くことがない。

ずいぶん昔のこと。長野市内の松代だったと思う。ある住宅のアプローチに植えられたクマシデを見て、おれは思ったね。庭を作ったら、こんな雰囲気の木を植えたいと。まあ結局、自分の庭にはクマシデは植えなかったけど。
好きな木はたくさんあって書ききれないが、傾向としては実のなる木かな。ナツハゼ、ツリバナ、ミズナラ、シダレガキ、アズキナシなど。ムシカリとかツクバネなんかもいい。草物はたくさんあるので、とても書ききれない。

商売柄、いろんな家のいろんな庭を見る。中には舗装なんかをしてほとんど土が見えない庭もある。面倒な庭の手入れをしたくないということだろう。ちょっと味気ないが、それはそれで正解なんだと思う。実際、手入れの行き届いた庭というのは、非常に少ないものだ。庭木の剪定や消毒はいいとしても、やっかいなのが草取り。たいていの家は、草取りを苦痛に思っている。抜いても抜いてもどんどん成長するし、蚊の襲撃を受けたりするからだ。いちばんいいのは気にしないことだが、それも限度ある。また近所の手前というのもあるし‥。我が家の庭なんか、自慢じゃないが、草ぼうぼうでわけがわからない。自然と共存した庭と称しているが、人に見せられない。

我が家の南側の庭の一部は、黒い那智石を敷き詰めてある。その部分だけは草取りをしなくてもいいのだが、秋などは枯れ葉が石の隙間に入り込む。これがやっかい。当初鉄平石を張る計画だったが、予算の都合で断念。残念だったなあ。写真にも写っている布団干し。ステンレスの予定が、やはり予算の都合でスティールになってしまった。これまた残念。

庭の手入れがおもしろかったのも、ほんの一二年の間だけ。もうすっかり飽きてしまった。我が家の草だらけの庭を見て、こんなことを考えている。ホームセンターで御影の敷石をちょくちょく買って来て、少しずつ土の面積を減らそう。
08.07.12


 家に関しての個人的好み 1

住宅は、小さいほうがいい。そう思っている。

たとえば、我が家の子供室。ロフト付きとはいえ、かなり狭い。造り付けの机とベッドと収納が、部屋の半分を占める。その上、太いハシゴがデンとあるので、頭をぶつけそう。子供室なんか、それでいいと思っている。何年かしたら、子供は家を出て行くのだから。

設計の段階で、「あれが必要。これも必要。ついでにこれも。この際だからあれも」では、建物はどんどん大きくなってしまう。足し算ではなく、ここは引き算でいかなくてはいけない。あれはいらない。これもいらない。迷ったら、もちろんいらない。可能な限り面積を減らすべきだ。だいたいにおいて、家族の人数がいちばん多いときに家を作るんだよね。何年かすると、ひとり減りふたり減りする。場合によっては、ふたりだけになって、しまいにはひとりになったりする。人の少ない大きな家は、なんとも寂しいものだ。
人数に合わせて、家を小さくできるといいのに‥。

大きな家というのは、当然建築費も増す。それだけではない。固定資産税が高い。家の中が暗い。風通しが悪い。暖房費がかさむ。相対的に敷地が狭くなる。掃除が大変。玄関が遠い。等、等。とにかくロクなことはない。

とは言っても、どこもかしこも小さく狭くしたのでは、なんとも味気ない。ところどころを広くし、ところどころに遊びの空間をつくりたい。これが大切。機能一点張りでは、やはり疲れてしまうからね。それが「ゆとり、息抜き、余裕、和み」なんだと思う。
08.07.15


 我が家

建物が完成したときに撮る写真を完成写真とか竣工写真という。写真を生業としてきて、撮った建物は数百か。ひょっとしたら千棟を超えているかも。

我が家を新築したのは、9年前のこと。そんとき、他人の家ではなく、初めて自分の家を撮った。感無量。一世一代の写真を撮るはずだったが、なんといっても自分の家。まあいつでも、好きなように撮れるし‥。まあそんな感じで撮って、アルバムにまとめて、建設会社と設計事務所に納品した。もう少していねいに撮ればよかったかも。紺屋の白袴というやつかも。

ちょっと戻って、新築計画の話。知っている設計事務所はいくつかあったが、どこに依頼するかを悩んだ。どの設計事務所もいい仕事をするのだが、おれのイメージ通り、というよりおれにはイメージできないような、おれ好みの家を設計してくれる人を探した。
そんなころ、たまたま松本の友人が新築の真っ最中だった。その設計をしたのが、岡谷の片倉隆幸さん。事務所名は、片倉隆幸建築研究室。
う〜ん、片倉さんねえ。面識はなかったが、岡谷の事務所に会いに行った。事務所で話をし、近くで施工中の住宅を見て、その日に設計をお願いしようと思った。

新築予定地は、200坪か300坪の農地。かなり広いんで、なんでもアリという条件。制約が少ないんで、逆に設計に困ったとか。片倉さんの出した基本設計は3プラン。さてどれにしようかと思案していたら、その農地の宅地化の申請が却下された。あれれれれ。新築計画は、もちろん頓挫。
翌年、長野市郊外の新しい住宅地の中で市で売りに出している物件を発見。これが今住んでいるところ。土地は約90坪で少なめだが、実に環境がいいんだね。片倉さんに再度設計を依頼。

片倉さんは、いくつか基本プランを考えてくれた。ラフの平面図を見て、おれは数秒で決めた。決定したのは、コの字型の平家。基本プランさえできれば、後は細かな作業。設計は、順調に進んだ。

施工会社は、3社の入札。で、決まったのが守谷建工という会社。落札金額は思いのほか低く、ほとんど赤字だったとか。代人は友野さんという方で、8ヵ月という長い工期の間、本当によくやっていただいた。大工の棟梁は県の技能賞をもらったという方で、昼夜一生懸命作っていただいた。左官工事、家具工事など、すべてにわたって、片倉さんがため息をつくほど。

で、99年の11月、一部RC造木造平家の我が家が完成。客室はなく、玄関脇の物置と事務所スペースを入れても37坪弱というこじんまりした家だが、2000年の長野県建築文化賞最優秀賞(住宅部門)を受賞した。
08.07.01


 レンズの買い替え

シグマ10-20mm F4-5.6 EX DCが故障し、新しいのを買った。このレンズ、実は4本目。発売と同時に買ったものは、右上がひどい片ボケ。メーカーに送ったら、取り替えてくれた。ところが、これもひどい片ボケ。しかも一部分だけブラックホールのようなゆがみがあった。またメーカーに送り返そうと思ったが、あきらめた。で、しばらくして3本目を購入。これはよかった。満足して使っていたのだが、今年の3月コンクリートの上に落としてしまった。残念。ズームリングとピントリングがスムーズに動かなくなったが、まあなんとかごまかして使用。10日ほど前からは、近距離にしかピントが合わなくなった。で、買い替え。

はたしてどんなレンズが届くだろうか。過去の例があるんで、もう心配。宅急便で届いた箱を開け、すぐD2Xに装着。テスト撮影だ。20枚ほど撮り、さっそくチェック。四隅、とくに左上の像の流れが気になるが、まあ許容範囲。よかったよかったと、一安心。

それにしても、これほどバラツキのある、いい加減なレンズをほかに知らない。本来ならば力一杯蹴っ飛ばすところなのだが・。残念ながら、10mmというのはシグマだけ。選択の余地がないのだ。ほかのメーカーでは11mmというのがあるが、超広角レンズの1mmの違いはかなり大きい。
シグマ10-20mm F4-5.6はディストーションの少ないレンズで、12mmで撮ればディストーションはほとんど気にならない。Nikkor ED 12-24mmなどは、15mmで使ってもディストーションが目立ち、どうも建築写真には向かない。

DXフォーマットからEXフォーマットへの移行を視野に入れて、いっそのことシグマ12-24mm F4.5-5.6 EX DGにすればよかったかな。まっ、とりあえずはこれでいこう。
08.06.12


 

習性

撮影したのは昨年の春。経済誌の取材ということで、某IC企業の工場へ。きれいなお姉さんに案内されて、広いホールから階段を上がった。ご覧の通りなかなかの建物。ねえ、ここ撮るよね。同行の編集者に聞くと、彼は首を横に振った。まあ、ここは関係ねえもんな。そうは思いながらも、手持ちで数カットをパチパチ。建築写真をメインに撮っていると、使わないことを承知で撮ってしまうんだよね。で、仕事で撮ったのは、社長のアップ、製品、工場の様子、工場と社長など。写真屋としては、製品を持った社長を階段に立たせて撮りたかったなあ。
08.06.25


 引っ越し前・後の撮影

引き渡し前(引っ越し前)に撮る場合は、室内はがらんとして殺風景。撮影自体は簡単なのだが。官公庁に提出する竣工写真ならいざしらず、写真屋としてはどうも不本意。
設計では、ここにテーブルを置いて、ここに絵を飾って、ここに本を並べてとか。最終的な絵を思い浮かべて設計しているはず。写真屋としても、その本来あるべき最終的な姿で撮りたいものだ。

しかしだ。これがむずかしい。クライアントが、すぐ写真を使いたいとか。引っ越してからだと、施主が嫌がるとか。変な家具なんかがゴチャゴチャ置かれそうとか。とにかくいろいろ理由で、引っ越し前に撮ることが少なくない。場合によっては、カーテンやブラインドが入る前に撮るということも。重ね重ね残念。

引っ越し後の撮影というのは、これが実に大変。時間がかかり、施主に迷惑がかかるからだ。外観は、建物の向きや形にもよるが、普通は午前と午後と夕方に撮影。室内は、日中と夕方に撮影する。外観内部ともに、季節や天候に大きく左右される。撮影当日になって、「今日は天気が良すぎて‥」「今日は暗くて、どうも‥」などとは言いにくい。

外観撮影では、いろいろなものをどかす。ベランダに干した洗濯物や布団、車や自転車等、等。まったくにもって恐縮してしまう。室内もしかり。カメラを構えて写る範囲だけだが、家具の位置や向きを変えたり、見えないところに隠したり。さらに花を飾ってもらったり、食器を並べてもらったり。これまた恐縮の極み。いい施主ならいいが、機嫌の悪い施主なら、怒られそう。まあ因果な商売だ。
08.05.23


 ペンタックス67

メインカメラは、以前はペンタックス67だった。フィルムサイズは56mm×69mmで、120フィルム10枚撮り。普通ロクナナと呼ばれるタイプだ。もちろんアオリ機能のないリジット。室内撮影はもちろん、外観撮影まで、ほとんどこのカメラでこなしていた。自分で言うのもなんだが、なんとまあ無謀な。ちゃんとした、まともな建築写真家が聞けば、呆れてしまうに違いない。

ペンタックス67は、まずスクリーンを格子線にし、ファインダーは視野率100パーセントのウェスとレベルに交換。レンズは、ちょっとディストーションが気になる45mmF4がメイン。フィルムは、ポジならRDP、RVP、RHP、RTPなど。ネガなら、NCとNL。

で、どう撮るか。まずはカメラの水平垂直。昔はレベルを当てがって調整していたが、精度面からすぐやめてしまった。で、どうするか。三脚のカメラのレンズが自分の体のどこの位置するかを確認する。そのまま部屋の向こうに行き、レンズの高さの位置を覚える。変化のない壁なんかの場合は、紙テープでマーキングしてもいい。ファインダーを覗き、向こうのチェックしたところを中心線(横線)を合わせる。さらに、ファインダーを覗きながら、柱などの垂直線と格子線の縦線が合うようにする。これがなかなかむずかしい作業。微調整のできない三脚だと、ついイライラしてしまう。

カメラはどんな高さでもいいわけではない。その場にふさわしい高さというものがある。アオリなしで撮る場合、室内なら床と天井、外観なら空と地面の比率が必然的に決まってしまう。たとえば和室では畳部分が多くなるし、外観では建物の上部が切れたりする。
印刷にしろプリントにしろ、ノートリミングということは少ない。たとえば横長のキャビネの場合、縦1に対して横が1.45という比率。67の画面(1:1.2)に比べたら、かなり細長い。プリントする場合は、天地をかなりカットすることになる。ここがポイント。トリミングを前提に撮れるので、ペンタックス67のようなリジットカメラでもそこそこ建築写真が撮れるのだ。

外観撮影では、ファインダーはアイレベルに交換。明るければ、ほとんど手持ち。やはり格子線を見ながら、カメラを水平垂直にする。この作業は、そうむずかしくはない。ただ室内と違って、建物は高い。全景を写そうとすると、どうしてもカメラを上向きにしてしまう。で、どうするか。脚立の上とか、向かいの建物の2階とか、とにかく高いところから撮る。おれの場合、1.5mの脚立を車に載せている。しかも、車はルーフキャリア付き。ルーフキャリアに脚立を立て、さらにその上に立てば、GLから5mほどの高さから撮れる。しかしだ。猫も杓子もハイアングルというのも問題。建物によっては、特に和風住宅なんかでは、ハイアングルはあまり好まれない。
どうしてもリジットでとれない場合は、ワンランク広角レンズを使って、後でトリミングする。裏技というよりは、イモ技かな。自分で言うのもなんだけど、まあひどい撮影法だ。もっと荒技は、縦位置で撮って後で横にトリミングするというもの。ここまで来ると、開いた口がふさがらないかも。ああ、はずかしい。リジットカメラではどうしても撮れない場合は、さすがにリンホフテクニカルダンなどのビューカメラを使ったが。

ずっと昔の話。モノクロのプリントの際、引き伸ばしレンズを絞り込み、印画紙を傾けて露光ということもした。とにかく苦労の連続。今はデジタル。画像処理で水平垂直を簡単に修正できてしまう。まあ楽になったものだ。


持っているペンタックス67は4台。6Vの電池を入れれば、どれもいつでも使える現役(のはず)。レンズは、35mm(魚眼)、45mm(2本)、55mm、75mm、90mm、105mm(2本)、135mm、200mm。さてさて、これから先、何回出番があるんだろうか。
08.04.14


 プロとアマ

建築写真は、以前はプロが撮るものだった。撮影技術がむずかしいのではなく、それ用の、アオリのできるカメラ(ビューカメラなど)でないと撮れなかったからだ。
中・大型のビューカメラは操作がむずかしい。フィルムも特殊だし、ピントを合わせるだけでも大騒ぎ。とても普通の人が扱えるシロモノではない。とくにリバーサルフィルムでの撮影は、とてもとてもトウシロウの出る幕ではなかった。たとえば蛍光灯のフィルター補正などは、頭を抱えるほどむずかしい。で、建築写真家なる人間が登場したわけだが。

これはプリントからだな。これはポジだな。これはプロだよな。これは35mmだな。これは4×5でしょ。といった具合に、以前は印刷物を見ただけでカメラやフィルムなどを推測できたものだ。ところが、今は容易にはわからない。どんなカメラで撮ったのかもわからない。アマが撮ったものかプロが撮ったものかも、わかりづらい。

今はデジタル。プロの使っているカメラもアマの使っているカメラも、ほとんど同じ。レンズもしかり。PCもしかり。ソフトもしかり。プロとアマの違いは、撮影技術だけ。とはいっても、今のカメラレンズは超高性能。その上、フォトショップなどのソフトが優秀。そこそこの写真が撮れていれば、画像処理でなんとかなってしまう。
モノクロ写真もできるし、プリントもできる。もちろん印刷にも回せる。まさにいいことずくめ。
写真屋としては、いい時代なのか。それとも悪い時代なのか。悩んでしまう。でも、後戻りはできないし、したくもない。
08.03.22


 二流カメラマン

通った大学は、写真とはまったく関係のない映画学科。卒業してからも、スタジオで働いたことも、だれかの助手になったこともない。だから、写真はすべて独学。というより、自己流と言ったほうが正確かな。
なもんで、世間のカメラマンがどんな機材を使って、どんな風に撮っているかを知らない。写真全般に疎いおれが、写真を生業にしていること自体はずかしいことだ。ましてや、撮り方を偉そうに云々するなんて。

で、二流カメラマンと称している。本当は三流なのだが、そこはそこ。三流じゃあんまりなんで、見栄を張って、二流ということにしているのだ。こういうことは、本来ならば謙遜して言いたいことなのだが。(汗)


年に一度くらいだが、先生と呼ばれることがある。どう呼んでいいのか迷って困った末だろうが、呼ばれるほうは笑ってしまう。おれなんか、先生なんかじゃねえよ。なにを勘違いしているんだろう。まったくにもって、大笑い。
08.02.28


 最初のカメラ その後

親父が勤めを休んで3週間後。長野赤十字病院に入院して2週間後のこと。夜8時ころ、たまたま親父を見舞った。入院してから2度目のことだ。これから夜遊びという前で、友人Nが病院の近くでおれを待っていた。おれは気もそぞろ。たいした話もせず、5分くらいで病室を出た。病室を出るとき、親父がこう言った。また来てな。おれは、ウンとうなづいた。

その翌朝、容体が急変。親父は死んだ。今でも鮮明に覚えている。朝の5時、長野赤十字病院から電話。おれと姉はタクシーに乗って、病院に向かった。運転手に料金を払う姉を置き去りにして、おれは薄暗い玄関に入り、だれもいない廊下を走った。病室に入ると、おふくろが泣き崩れていた。あの元気な親父がなぜ?なぜ?おれは、なにも知らされていなかった。
おれは心の中で親父に言った。家は、おれがちゃんと守る。それから、約束通り、鳥の写真も撮るから。親父が47才、おれは高2の16才のことだ。


親父の年に近づいたころ、おれは土地を探して家を建てた。そして、庭にやって来る小鳥を窓から撮った。
昔の約束を果たそうなんていう殊勝な気持はないが、親父と同じようにやはり鳥が好きなんだね。鉱物図鑑、鳥類図鑑、植物図鑑、ホ乳類図鑑等、等。小さいころ、読書は大嫌いでも、図鑑は大好きだった。だから鳥の名前なんか、小学生のときにみんな覚えてしまった。小笠原や沖縄の返還前だったので、鳥類の種類が少なかったけど。

今も、庭にやって来る小鳥を毎日眺めている。狭くてつまらない庭だが、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、スズメ、ムクドリ、ウグイス、ジョウビタキ、カワラヒワ、シメ、オナガ、ハクセキレイなどが入れ替わり立ち替わり来てくれる。かわいらしい。

写真は、庭にやって来たウグイス。
08.01.14


 最初のカメラ

その昔わが家には、ミニスターというヤシカの距離計連動式カメラがあった。軍艦部にセレンの露出計が付いていて、小さなボッチを押すと針が動いて数字(LV値)を示す。レンズ鏡胴部にはピントリング、絞りリング、シャッターリングのほか、最前部にはLVリングが付いていた。露出計で読み取った数字をLVリングの数字に合わせる。(絞りリングとLVリングが回ったんだよな!?シャッターリングは回らなかったのかな。40年以上も前なんで、忘れてしまった。)LVを合わせた後は、シャッタースピードと絞りの組み合わせは一目瞭然。リングを一緒に回せば、どの絞りでもどのシャッタースピードでも適性露出が得られた。ピントは二重像合致式。慣れれば簡単だ。このミニスターは、高校3年のときに売ってしまった。

部員が足りず、部の存続が危うい。頼むから、名前だけでも。そう友人Nに頼まれた。友情に固く義を重んじるおれは、写真部に入った。高校2年の春のことだ。
おれは、すぐその気になるほうだ。写真部員としては、やはり一眼レフがほしかった。カメラ屋さんでカタログをもらい、毎日毎日眺めた。1969年である。ニコンFは、ボディのみで6万円か7万円していたはずだ。当時の貧乏所帯では、超贅沢品だ。
新しいカメラなんか、とんでもねえ。うちのカメラ(ミニスター)を使え!とは、親父。う〜ん、こりゃ難関だ。
で、作戦を練った。突っつくとしたら、親父の弱点。おれは鳥類図鑑を見ながら、親父が聞こえるようにつぶやいた。ああ、鳥の写真を撮りてえなあ。山に行って、マヒワとかウソと‥。う〜ん、コゲラもいいよなあ。鳥の名前をいろいろ挙げると、案の定親父は聞き耳を立てた。
そう。親父は鳥オタクだったのだ。家の中は鳥がだらけ。鳥カゴがいくつもあって、ヒガラ、ヤマガラ、マヒワとなどの小鳥をたくさん飼っていた。さらにカケスからキジ、ヤマドリなどの大型鳥まで、もう家中鳥だらけ。そんな親父である。鳥の名前にそそられたのだろう。話は関係ないけど、映画「1941」で、飛行機の名前(B16とか)を聞くと欲情する女が出てきたっけ。親父も似たようなものだった。そのうち、親父はこんなことを言い出した。お前なあ。鳥を撮るには望遠レンズが必要だぞ。

で、買ってもらったのが、ペンタックスSP。レンズはSタクマー50mmF1.8。4万円弱したと思う。とにかくめでたし、めでたし。

写真は、畑に行く少年。カメラはペンタックスSP。1970年6月撮影。
08.01.12

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