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 和室の撮り方 1

初級〜中級 住宅写真の撮り方 



和室に限らず、日本の家は暗かった。だからというわけでもないが、暗い部分があってもちっとも不自然ではない。それどころか、暗さの中にほんのりした明るさがあると、とても落ち着いた印象を受ける。
暗さのある写真は、一般的にはウケが悪い。が、写真に詳しい人ほど、建築に詳しいひ人ほど、暗い写真を好む傾向があるようだ。



撮影では、端正な写真を心がける。床の間がある場合は、まずは床の間に向かっての正面写真。部屋の中心ラインか照明器具のラインにカメラを置く。画面での天井と畳の面積に留意するが、中級者としては、正座したときの目の高さにカメラを置きたい。カメラ位置が低いと、どうしても畳の面積が大きくなる。下部をトリミングする手もあるが、普通はカメラを上向きにして撮ろう。PCの画像処理で垂直線を補正することが前提だが。
斜(はす)のカットは、部屋のコーナーをセンターに置く。照明器具はなるべく中心にもってくる。

軸がかかっている場合は、軸の高さをチェックする。香炉や飾り物は、軸の真下に置く。生け花などは、普通はセンターから外す。脇床の飾り棚にはあまり物を置かない。とにかくすっきり、端正に撮ろう。



失敗例。どこが失敗なのか、おわかりだろうか?
カメラが高すぎる!そう思った方は、中級合格。もっともっと低い位置で撮らなくてはいけない。そうすれば、畳に差し込む光も、庭の景色もずっとずっとよくなったはずだ。いい写真なのに残念。

和室に限らないが、初心者ほど高い位置で撮る傾向があるようだ。ひどい場合は、立ったアイレベルで撮るからね。そう、なるべく低く。それが基本。

住宅を撮影する場合、まず中と外を一通り見てから、撮る順番を決める。その順番で撮って行くわけだが、撮るのは1回とは限らない。時間帯を変えて撮ることも少なくないからだ。この和室もそう。後でもう一度来たら、西日がうまい具合に部屋に差し込んでいた。こういう大事なときは、つい焦っちゃうんだよね。まごまごしていてタイミングを逸してしまった経験が何度もあるからだろうか。いつも反省するのだが‥。焦ると、やはりとにかくロクなことはない。

このカットは部屋の一部なんで、天井が写っていなくても全然平気な写真のはず。事実、写真の上部をトリミングしても違和感はない。



むずかしいのが、照明器具。できるだけ点灯しないで撮っているが、暗い場合とか、照明器具の形状とかによって点けることも。迷ったら、点灯したカットと消したカットの両方を撮ろう。
上の写真は、金沢市の民家再生住宅。どちらがいいかは、意見の分かれるところ。おれなら、点灯していないAを選ぶ。よく覚えてないが、Aは弱いライティング(ストロボ)をしているはずだ。ひょっとしたら、Bもライティングしたかも。

床の間の上部には、必ずといっていいほど照明が付いている。無駄な照明のひとつだと思っているが、これも点けたり点けなかったり。蛍光灯の色が違っている場合や明る過ぎる場合は、やはり消灯。床の間が暗い場合などは、点灯。まあ、いろいろだね。

写真Cの撮影では、燭台を入れてくれという指示。ローソクの火はやたら暗い。もう少し暗くなってから、床の間と脇床の照明を消して撮るべきだった。
この1カットだけならいいが、ほかにも撮るべきカットがたくさんあるので、ベストコンディションで撮るのはなかなかむずかしい。



富山県の民家再生住宅。撮影当日は10cmの積雪で、内部のみの撮影となった。翌年、外観を撮ったが、内部は広縁のカットのみ再撮影。こうやって並べてみると、とてもおもしろい。いっそのこと、四季の写真がほしくなる。考えたら、ちゃんとした定点撮影って、一度もしたことがない。庭を造ったら、1年後、3年後、10年後といった定点写真もおもしろいかも。人が入ったら、もっとおもしろいに違いない。



困るのが、テーブル。本来あってしかるべきものなのだが、どうも邪魔になる。カメラ位置が低いと、床の間と重なるからだ。

右は、マズイ写真。外光が弱いためだが、室内の照明が結果として強過ぎた。メインの照明がハレーションを起こしているし、床の間の上部が飛んでいる。こういう場合は、ストロボを弱く使うべきだったろう。また、カメラも高過ぎる。

さて、テーブルだが、見ての通りの無垢材。ほかに誰もいなかったので、テーブルを移動できなかった。移動できても、テーブルの足のあった部分の畳が緑色だったかも。比較的新しい家では、座布団を持ち上げたら、その部分の畳が緑色になっていることも珍しくない。対処のしようがないんで、困ってしまう。



写真Aは、日中に撮ったもの。ストロボを使っているが、それでも間に合わず庭の部分を合成している。どピーカンの日中、室内と庭の明暗差は7絞りから10絞りくらい。それを一緒に自然に撮るのは非常にむずかしい。こういう条件では、最初から撮影をあきらめたほうがいいかも。なら、どうするか。内外の明暗差の少ない曇天や夕方に撮影するのである。写真Bは、日没後に撮影したもの。やはりストロボを発光しているが、弱くである。もちろんストロボがなくても容易に撮れる。電灯の光も心地よいし、なにより全体の雰囲気がいい。



Bは、晴れた日中に撮影したもの。ライティングなし。もちろん合成もしていない。開口部が広く、室内がかなり明るいため、こういう写真が撮れる。日の高い6月という条件もプラスに働いている。Aは、障子を閉めたカット。やはり、和室における障子は特別なもの。AとB、ともに不可欠なカット。



竣工写真というのは、普通は組写真。つまり、写真を並べて見るもの。望遠レンズを使ったり、夜景を撮ったり、ディテールを入れたりして、写真の流れにメリハリをつける。
というわけで、和室ではどんどんディテールを撮ろう。けっこう絵になるぞ。どこをどう撮るかは、けっこうむずかしいけどね。